高周波技術

見えないけれど、電気の波が誰かと誰かを結びます。

私たちの生活の進化とともに、利用範囲が拡大する電波。
まだまだ進化を続けるユビキタス社会で、アルプス電気の技術力は活躍します。

100年前に始まった無線通信への期待

「いつでも・どこでも・誰とでも」。
現在のユビキタス社会を言い表したキャッチ・フレーズだと思われるかもしれません。しかし、一世紀以上昔から人々は、同じことを考え続けてきたのではないでしょうか。

今から100年と少し前。大西洋横断無線電信の実験が成功しました(※1)。「水平線の向こうまでは、無線電信は不可能だ」そう考えられていた時代のことです。当時の人々は、これで「どんなに遠くの人とでも、いつでも連絡がとれる」と思ったことでしょう。

この時から、「いつでも・どこでも・誰とでも」に向けた人々の夢が始まります。

※1)研究者にして実業家

イタリアの物理学者マルコーニは、1895年に無線電信の実験に成功。2年後には無線電信の会社を設立しています。1901年には大西洋横断無線電信実験が成功。1907年から営業通信を開始しました。後にノーベル賞受賞を始め、イタリア政府からは爵位を授かり、日本政府からも勲章を贈られています。

無線通信はコミュニケーション・テクノロジーへ

無線通信の主役である電波。電波の波には周期があり、それを1秒間で区切ったものが周波数です。単位はヘルツ(Hz)(※2)。1回当たりの振動の長さを「波長」といい、周波数が高くなるほど波長は短くなります。

「周波数帯」拡大画像

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電波には、周波数が高くなるほど、伝達可能な情報量増加するという特性があります。こうした電波特性を利用して社会に生かすため、時代とともに技術開発が行われてきました。現在では、複数の周波数帯が利用可能。電波の用途は周波数帯ごとに、法律で定められています。

20世紀後半。音声・画像・データ・動画など、情報伝達へのニーズは増大。社会が利用する周波数は、どんどん高くなっていきました。ユビキタス社会では、もっと高い周波数を使いたい。周波数の高い電波をコントロールする技術=高周波技術の重要性が高まっています。

※2)閃光のような学者人生

ラジオの選局でもおなじみの単位「ヘルツ」は、ドイツの物理学者ヘルツに因んだものです。ヘルツは「“光”と“電波”は理論的に同じもの」とした、英国の物理学者マックスウェルの「光の電磁波説」を証明。その他にも数々の功績を残しましたが、その生涯も光のように速く、弱冠37歳で病死します。

見えないものを見る目、それが高周波技術の要

高い周波数…高周波(マイクロ波)をコントロールする回路を設計する場合、周波数が高くなるほど、いくつもの障害があります。

まずは、電波干渉の問題。高い周波数の電波ほど波長が短いため、小さなアンテナにも反応します。それが電子回路上だと、わずかな銅線がアンテナとなって、電波が回路から飛び出てしまうことも。また逆に、偶然に波長に合った回路があると、外から電波が飛び込んで来る場合もあります。高周波では、部品間や回路上での電波干渉が起きやすいのです。

また、高周波特有の寄生要素も大きな障害。回路内部の部品間や空間には、寄生容量が存在します。寄生容量とは、意図せずに回路に負荷されたエネルギーのこと。ある程度は抑えられますが、完全に取り去ることはできません。低周波なら問題になりませんが、高周波になると「目に見えない回路(寄生要素)」があるのと同様の状態が発生。回路がない部分にも高周波電流が流れ、動作に様々な影響を与えます。

さらに高周波回路では、回路パターンがコイルやコンデンサなどが、予想外の「目に見えない部品(寄生要素)」の役割になってしまうなど、設計者の意図とは異なる事象を発生させます。

高周波回路の設計では、この「目に見えない回路・部品」を見極めることが重要です。しかし「見極め」には、積み重ねたノウハウと長期間の熟練が不可欠。高周波回路設計の大きな課題となっています。

電波は技術開発で生活の快適さに

アルプス電気は、1949年にラジオ部品の製造を開始。1954年には日本で始めてテレビ用スイッチチューナを製品化するなど、様々な周波数帯の通信関連技術開発に携わってきました。

高周波回路設計に関する課題の克服にも、早い時期から着手。コンピュータを使用した高周波回路の解析/シミュレーション…「高周波CAE(Computer Aided Engineering)」に取り組んできました。これは、技術者が長年の経験で得た高周波ノウハウを取り入れ、「目に見えない部品や回路(寄生要素)」までも含めてシミュレーションを実施。電波特性の正確な計算を可能にしています。

携帯電話を始めとする身近な情報通信機器には、当たり前のように高周波が使われています。私たちアルプス電気も、携帯電話用送受信ユニット、地上波デジタル放送用ユニットなどの開発実績を生かし、現在ではBluetooth®モジュール(※3)や無線LANモジュールなど、情報通信分野で付加価値の高い製品を提供し続けています。

特に昨今では、クルマの電子化に伴い、車内でのスマホや音楽プレーヤなどとのリンク機能は一般化し、今後に向けては車車間/車路間の情報通信機能も伸張すると予測されています。

アルプス電気は、これら情報通信機器の内部で使用される電子部品の開発・生産を通して、100年前の夢の実現へ貢献していきます。

※3)「青い歯」って何?

Bluetooth®」は、情報通信機器をワイヤレスでつなぐ短距離無線通信技術の規格のこと。通信範囲は、PAN(Personal Area Network)と言われる10m程度。最も身近なものでは、携帯電話の音楽データ操作にも使われています。命名の由来は、北欧を平和的に統合したデンマークの「ハーラル青歯王」から。

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