ものづくり活動

アルプス電気の
未来につながるものづくり活動

「ものづくりの国・日本」の将来に向けて危機が叫ばれる中、アルプス電気は「ものづくり」を生業とする企業として、将来のものづくりについて考え続けています。

アルプス電気は、「美しい電子部品を究めます。」をコーポレートメッセージに掲げています。部品とは、普段の生活の中ではあまり目に触れることはありません。それでも、私たちはその「美しさ」を追究します。なぜならば、「ものづくり」そのものに魅力があるからです。その魅力は、実際に手足を動かし、体験することで実感できると考えています。

アルプス電気では、ものづくりの魅力だけでなく、ものづくりに関わる技術そのものを次世代に伝える取り組みを、社内外で行っています。

今回は、将来のものづくりに向けたアルプス電気の取り組みを紹介します。

ものをつくることは、面白い
地域と共に、ものづくりに取り組む

東京都大田区。京浜工業地帯の中心として多くの「ものづくり企業」が集まる地域です。アルプス電気は1948年11月、大田区に生まれ、育ちました。現在では、国内はもとより、海外に販売・拠点を持つまでになりました。

アルプス電気は、生まれ育った地域を拠点に、未来を担う子供たちに、ものづくりの楽しさを知ってもらう取り組みを始めています。

大田・ものづくり科学スクールを開催

スクール開始のあいさつに、緊張の面持ち。アイテムは「ショベルドーザー」

スクール開始のあいさつに、緊張の面持ち。
アイテムは「ショベルドーザー」

アルプス電気は2003年11月から、大田区教育委員会と共催で「大田・ものづくり科学スクール」と題した工作教室を日曜日を中心に行っています。これまでに42回開催し、延べ743人(2009年3月現在)の児童が参加しています。

スクールの目的は、ものづくりに親しんでもらい、その楽しさを知ってもらうこと。課題は、作って実際に動かすことのできるショベルドーザー、電子ラジオ、グライダーなどを中心に選択しています。テレビゲームやデジタル玩具など、すでに組みあがっているものやソフトウエアのコンテンツの面白さに慣れ親しんでいる子供たちにとって、「自分で組み立てたものが自分の操作で動くこと」は、新しい感動を味わうきっかけになるのではと考えています。

工作は、アルプス電気の社員とOB社員が指導や補助にあたります。しかし、このスクールの目標は、あくまで自分の力で最後まで作り上げること。作業の順番やコツは教えますが、組み立て指示書を読み、理解し、実際に組み立てていくのは子供たちに委ねられます。

 

「だからものは動く」を知る

テーマは、「モーター」について

テーマは、「モーター」について

また、ただ工作を行うだけではなく、「動作の原理」も併せて説明します。例えば、なぜグライダーは飛ぶのか、なぜ小さな歯車が大きなものを動かせるのか・・・といったことをひも解いていきます。

それらの多くは物理の世界でもあり、小学生にとっては「難しいなぁ」だけで終わってしまっているかもしれません。それでも、ものが動く原理を説明するのは、将来、物理を習う際、「小学校の時の工作教室で見たことある!」と、興味のきっかけになってくれるのではないかと考えているからです。

 

親子のふれあいの場として

このスクールは、子供たちのものづくりへの興味の醸成の場であると共に、家族のふれあいの場でもあります。参加する子供たちとその家族は、様々な思いを持って参加します。
その一例をご紹介しましょう。

アドバイザー役の社員と一緒に

アドバイザー役の社員と一緒に

ある日のこと、「工作は苦手だけど、苦手だから頑張ってみようと思って参加してみた」という女の子が参加しました。その子は黙々と作業に取り組んでいましたが、やはり苦手なのか、少しずつ遅れてしまいます。お父さんに「一緒にどうぞ」と声をかけると、「できないことがあると、すぐ頼っちゃうんですよ。今日は、最後まで自分の力だけで頑張って欲しいと思っていますので」と返事をされます。女の子も、ちらちらお父さんに視線を送るのですが、決して助けを求めようとはしません。「ひとりで頑張ってみる」は、親と子の約束だったのかもしれません。もちろん、親子が一緒になってものづくりに取り組むケースも多くあります。しかし、ものづくりをきっかけに、約束を守り、苦手なことを乗り越えるということを経験する・・・・・・そんな場としても、この工作教室は活かされているようです。

女の子は結局、ひとりでショベルドーザーを完成させました。スクールでは参加の記念に写真を撮影していますが、女の子は撮影の際、うつむきながら小さな声でつぶやきました。「嬉しい」。自分で作ったショベルドーザーを大切そうに持ち、微笑む姿に、彼女に芽生えた小さな自信を垣間見ました。

ものづくり。最初は誰しも、できないかもしれない、失敗するかもしれないという不安を抱きます。しかし、でき上がった時、その不安は何倍もの喜びに変わります。それは、子供でも、大人でも、アルプス電気で働くエンジニアでも、同じなのかもしれません。

事業の根付くところで、ものづくりをひろげる
各地へ、世界へ

アルプス電気は、大田区で生まれ育ち、今では、ものづくりの拠点を宮城県、福島県、新潟県、そして世界で展開しています。東京から各地へ、世界へと拡がったそれぞれのものづくりの拠点でも、ものづくりの楽しさを次世代に伝える取り組みをしています。

日本国内の各拠点でも、小・中学生を対象に、工作教室のほかに、工場見学、職場体験などさまざまな形で、ものを作ること、ものを作る会社のことを知ってもらう取り組みを行っています。

 

ものづくりを目指す人を応援します

ものづくり研修所のある北原工場(宮城県大崎市)

ものづくり研修所のある北原工場(宮城県大崎市)

アルプス電気では、社内の技能伝承と学習の場として、1998年に「ものづくり研修所」(宮城県大崎市)を開設しています。これまでに、日本で働く社員はもちろんのこと、海外で働く社員、そして、地域の協力会社の方々の研修の場として、活用されてきました。この研修所では、アルプス電気のものづくりには欠かすことのできない、金型関係の研修を中心に、これまでに3,400名が修了しています。(2009年3月現在)

このものづくり研修所の研修プログラムの特色のひとつとして、研修生たちの手で研修テキストを作り上げること、が挙げられます。基準となるモノがあるからこそ、見直し・完成度を高めることができる、また、自ら「自分のテキスト」を作ることで、今後の実践の場面で起こりうる課題に直面した時の活用ができるように考えられています。こうして、作られたテキストは、ものづくり研修所の講師によって熟考され、進化をし続けてきました。

アルプス電気は、このように進化させ続けてきた「金型研修テキスト」を、2007年9月、岩手大学大学院に贈呈致しました。アルプス電気と岩手大学は、2004年3月、学術研究の振興と研究成果の社会活用の推進を図るため、包括協定を締結し、機能材料開発や次世代配線技術などの共同研究等を実施しています。また、共同で、経済産業省が推進する『産学連携製造中核人材育成事業』である『自己革新型ものづくり企業群育成に必要な重層的産業人材育成事業』にも、2005年~2007年の3カ年間参画し、活動してきました。その関係から、大学院に於ける教育の実践性を向上させるため、当社で開発された「金型研修用テキスト」を、大学院の「講義用テキスト」として活用したいとの要請を受け、今回の贈呈となりました。

アルプス電気のものづくりが、国内外の社内エンジニアのためだけでなく、次世代のものづくりを担う世の中の多くの人の役に立ってくれることを願っています。