ヒューマンインターフェース

より使いやすく、より便利に
アルプス電気のおもてなし

「ユニバーサルデザイン」。
ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターの所長でもあった、
ロン・メイス博士によって提唱された考え方です(※1)

“ユニバーサルデザインとは、特別な改造や特殊な設計をせずに、最大限にすべての人によって使用できるように配慮された製品と環境のデザインである。”
(原文:Universal design is the design of products and environments to be usable by all people, to the greatest extent possible, without the need for adaptation or specialized design.)

アルプス電気は、「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。」を企業理念としています。
「地球に喜ばれる」とは、自然環境に配慮した製品の開発・ものづくり。「人に喜ばれる」とは、電子部品を必要とするお客様に喜んでいただける製品を送り出すこと、そして車や携帯電話など電子部品が組み込まれた商品を使う消費者の皆様に喜んでいただくことを意味します。多くの人に喜んでもらえる製品、そこには、メイス博士の提唱したユニバーサルデザインの考え方も含まれています。
私たちの普段の生活のなかで、電子部品そのものを見かけることは少ないかもしれませんが、アルプス電気は日夜、皆様に喜んでいただける部品づくりを目指し、研究・開発を行っています。

今回は、画期的な技術革新ではなくとも、お役に立ちたい、喜んでいただきたい…電子部品をとおした「アルプス電気のおもてなし」の思いを紹介します。

※1)障がい者のためではなく、みんなのために

故ロン・メイス氏はアメリカの建築家であり、工業デザイナーでもありました。自らが車椅子利用者であり、その視点から「すべての人のためのデザイン」という考えを提案。ユニバーサルデザインと名付けたのです。彼はノースカロライナ州立大学デザイン学部ユニバーサルデザインセンターを創設し、現在のユニバーサルデザインのもととなる考え方である「7つの原則」を生み出しました。

電子部品は、人と機械の「インターフェース」

「電子部品はデジタル機器に搭載される部品としてのみでなく、それを使用するデジタル機器のユーザーとデジタル機器のインターフェースである」…アルプス電気は、そう考えています。
機械と人。一見、相容れない関係のように思えます。しかし、機械と人をつなぐインターフェースとなる電子部品があり、その電子部品によって機械がより使いやすくなれば、人と機械の関係はもっとスムーズになるのではないでしょうか。ストレスなく機械を使用できれば、人はさらに快適になれます。人々に喜んで使っていただける電子部品を作ること。私たちアルプス電気が目指す「美しい電子部品を究める」とは、そのベクトルともいえます。

人が持つ優れたセンシング能力を最大限に生かす

私たちが持つセンシング能力である五感。視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、これらをフル活用し、私たちは生活をしています。そして、日常生活のなかで欠かすことのできないものとなったデジタル機器を操作する時にも、人は精密機械に勝るとも劣らないセンシング能力を使っています(※2)
例えば、携帯電話。着信を音や振動で知り、またその音や振動の種類で、着信が電話なのかメールなのかを認知します。また、操作ボタンに書かれた文字、数字、図を見て、操作すべきボタンを見つけ、押します。押した時の「カチッ」「プチッ」という音と指先に伝わる感触で、自分の操作の確認をしています。
しかし、現在のデジタル機器は本来の機能のほかにも、たくさんの機能が搭載されるようになってきています。携帯電話を例に取れば、単に電話機能に留まらず、オーディオプレーヤ、インターネット接続によるウェブサイト閲覧、TV視聴といった機能が搭載されるまでになりました。このように多くの機能搭載により、機器の操作はボタンや切り換えスイッチを用いた方法に加え、タッチパネルなど表示画面に選択肢を表示し、直接触れることによって選択させるといった方法が増えてきています。

表示画面に選択肢を表示して選択させる方法は、身近なところでは銀行の現金自動預払機(ATM)、小型ゲーム機の画面などがあります。タッチパネル上の操作が実行されたことをユーザーに伝えるため、「ピッ」といったデジタル音が操作実行の時点で発生。音によってユーザーは、自分の行った操作を確認します。しかし携帯電話など、持ち運ぶことを前提とした機器では、「音を出すことができない」といった周辺状況も考えられます。
音以外で操作実行をユーザーに知らせる手段として着目したのが、人の触感を利用するものでした。スイッチを押したときの「カチッ」「プチッ」といった、タクティール感(※3)がない入力操作部へ、振動によるクリック感を付加したデバイス。それが「フォースリアクタ™」です。

フォースリアクタ™

フォースリアクタ™

もちろん、これまでにも触感を利用したフィードバックデバイスは世の中に存在しました。
例えば、携帯電話のマナーモード。「ブーン、ブーン」「ブン、ブン、ブン」といった振動で、電話やメールの着信を私たちに教えてくれます。この機構には、偏芯モーターが使われています。しかし、アルプス電気の「フォースリアクタ™」は、偏芯モーターを使っていません。偏芯モーターを使わずに、振動を作り出す「フォースリアクタ™」にアルプス電気が込めた思いは、「キレの良いクリック感」「低消費電力」「小型」でした。
偏芯モーターは、モーターに偏芯したおもりを付けて回転させ、その遠心力によって振動を起こします。そのため振動周期が長くなってしまい、始動から瞬時に停止する振動、つまりキレの良いクリック感(振動)を作り出すには不向きでした。そこでアルプス電気は、モーターではなく独自の電磁駆動を採用。これによってキレの良いクリック感を可能にしたのです。
また、モバイル機器に使用される電子部品は、低消費電力であること、より薄型・小型であることが求められています。そこでフォースリアクタ™の振動を作り出すために、板ばねを利用したユニークな構造を採用しています。この結果、より短い振動周期でキレの良いクリック感があるデバイスを開発。同時に低消費電力・省スペースも実現しました。

デジタル・モバイル機器のユーザーにとって、これらの機器が発生する振動やクリック感に対して、さして気に留めることはないかもしれません。しかし振動によって、デジタル機器が多くの人にとってより使いやすくなり、同時にエンターテインメント性への向上にも貢献可能となります。

※2)「おもてなし」の思いは未来へ

「誰もがイキイキとすごせる暮らし」を目指して、経済産業省では人の特性(身体形状、行動、五感、認知など)や生活空間を計測して活用する技術…「人間生活技術」に関して、長期的な戦略である「人間生活技術戦略」を策定しました。戦略の中には「人に親和し五感で楽しめ納得できる機器・空間・システムの開発」の実現を目指す…との項目もあり、今後ますます機械と人とのインターフェースが重要になっていきます。

※3)触れることで感じるもの

「タクティール」とは、ラテン語で「触れる=タッチ」という意味の言葉。北欧では、人が人に触れることによってもたらされる反応を用いた「タクティール・ケア」というケア方法があります。これは手足あるいは全身を手で触れ、不安感、痛みなどを緩和するというもので、日本でも介護や療養の場で取り入れられています。人間にとって、指や手からの刺激は大きな意味を持つのかもしれません。

より人が自然と思える操作方法で

グライドセンサ™

グライドセンサ™

携帯電話でメールをする。最近では日常生活の一部となった行動です。しかし、何度もボタンを押し続け、終いには親指が疲れ、肩がこった・・・などということはないでしょうか?
指で文字を書いて、そのまま入力できたら、簡単ではないか。文字をそのまま入力するだけでなく、フルブラウザ対応となった携帯端末をPCのようにカーソルを移動させることはできないか。それがアイデアの発端でした。

〈手書き可能携帯電話〉体験用モック  親指で「S」を描いた様子をモニター表示

〈手書き可能携帯電話〉体験用モック
親指で「S」を描いた様子をモニター表示

アルプス電気は、これまで静電容量センシング技術を用いたノートPCのタッチパッド部分のデバイス(当社製品名:グライドポイント™)を開発・生産しています。ノウハウの蓄積された静電容量センシング技術を用い、新しくモバイル機器用に開発した製品がグライドセンサ™です。ノートPCのタッチパッドのように、携帯電話の筐体の表面を指でなぞったり、軽くタッチしたりするだけで、文字・図形を描いたり、モバイル機器の操作を行うことができます。

もし、こうだったらいいな・・・デジタル機器を使うユーザーのほんの一瞬の思いを実現する。デジタル機器を使う、その「人」を考えた電子部品を世の中に送り出すこと。それが、アルプス電気のおもてなしです。