トップメッセージ

「持続的な成長が可能な会社」を目指します。

 私たちアルプス電気は、1948年11月、現在の本社ビル所在地である東京都大田区雪谷大塚(当時は雪ヶ谷町)に「片岡電気」として創業しました。それから現在まで68年間、一貫して「部品に徹する」を基本姿勢に、独自のものづくりを真摯に進めています。
 企業理念は、ものづくりによって「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造する」。これは1958年、創業10周年に制定された「社訓」のなかで、すでに以下の言葉で表していました。

代表取締役社長  栗山  年弘

代表取締役社長

代表取締役社長  栗山  年弘

社会奉仕:
我々は品位ある製品を作り常に社会に奉仕することを忘れない

 創業間もない頃から現在まで大切に引き継いできた、この決意と思い。その実現のために、私たちは常に「美しい電子部品を究める」努力を続けています。
 「美しい電子部品」とは、「Right(最適な)」「Unique(独自性)」「Green(環境にやさしい)」という三つのバランスが高次元で図られたもの、すなわち、洗練された外観のみならず、求められる機能を優れた品質で実現し、環境にも十分配慮した製品。それが、私たちのものづくりの本質なのです。
 近年、各種のデジタル機器が進化を続けるなかで、私たちのフィールドは、これまでの家電機器を中心とした民生市場から大きくシフトし、電子化が進むクルマ、スマートフォンに代表されるモバイル機器、更には省エネルギーやヘルスケアなどへと変化を遂げ、その規模もグローバルへと拡大しています。
 このなかで私たちは、これまで培ってきた固有技術を更に深化・融合し、新しい発想をもとに、次世代のものづくりを究めることで、世界中の人たちの暮らしに、豊かで快適かつ、環境にやさしい、新しい価値を創造していきたいと考えています。

2015年度業績は過去最高を記録しました

 アルプス電気では、2013年から3カ年にわたって取り組んだ第7次中期経営計画が終了しました。
 振り返ってみると、リーマンショック直後の2010年から始まった第6次中期経営計画は「赤字から脱却し、企業として生き残りを賭ける」ことをテーマとして、コスト構造改革と、損益分岐点引き下げを全社で徹底的に進めました。
 その間、為替は1ドル70円台という超円高を記録し、欧州債務危機の深刻化、更に東日本大震災やタイの大洪水など、幾度となく危機に直面しながらも、全社員の一致団結によって、何とか乗り切ることが出来ました。

 次の第7次中期経営計画では、「健全な会社に戻す」ことを目指して、売上規模をリーマンショック前の水準に回復させること、また、大きく毀損した財務体質も、同様に戻すことを目標としました。
 全社事業方針を「全員で仕事を取りに行く“Get TheBusiness All Together"」とし、車載事業での売り上げ2,000億円を目指す「AUTO2000」、スマートフォン向け事業では同1,000億円の「スマホ1000」を具体的な目標に掲げました。
 市場では、クルマはドライバー支援機能など技術革新が進み、スマートフォンは大型ヒット製品が誕生、世界で普及期に入りました。世界経済も米国、ドイツを中心に景気回復傾向が強まり、日本ではアベノミクスが奏功して、為替は円安基調、株価も高水準で推移するなど、企業業績にも追い風が吹き始めました。
 この結果、業績は右肩上がりに回復を遂げ、「AUTO2000」「スマホ1000」は計画から1年前倒しとなる2014年度に達成。更に第7次中期経営計画の最終2015年度は、連結業績において売上高・親会社株主に帰属する当期純利益が過去最高を記録し、電子部品事業でも売上高及び営業利益が新記録を達成しました。また、自己資本比率と有利子負債についても、リーマンショック前の水準に、ほぼ回復しました。
 一方、課題も顕在化しています。この好業績を冷静に見れば、スマートフォン市場と為替の追い風に依存しているとも言え、決して楽観視は出来ません。
 高成長が続いたスマートフォン市場は、既に成長の鈍化・成熟化が始まりました。また、過去約3年続いた円安の流れも止まり、欧州を中心とした政情不安も相まって、一転して円高の動きを強めるなど、先行きの不透明感は増しており、気を引き締めなければならないと、痛切に感じています。

電子部品事業 売上高

アルプス電気では第8次中期経営計画がスタート

目指す姿

 第8次中期経営計画は、目指す姿を「持続的な成長が可能な会社へ」としました。企業として、より一層の進化を実現すべく、取り組みを進めていきます。
 収益性の面では、車載事業での収益力をより強化することで「スマートフォン向け事業と車載事業の両輪化」を実現し、収益の安定化と拡大を図ります。ただし、スマートフォン向け製品は、今後3~4年後に売り上げ、利益ともに減少が予想されます。「持続的な成長が可能な会社」に取り組む上では、「スマートフォン市場が縮小するなか、いかにして成長するか」が大きなポイントです。
 そのために事業規模確保の面では、スマートフォンに代わる事業の確立と拡大が重要であり、車載デバイス製品の拡大とともに、新市場でのビジネス開発・確立を目指します。
 新製品開発の面では、人と機器をつなぐ「HMI(Human Machine Interface)」、人や機器の状態を把握する「センサリング™(SENSORING™)」、さまざまな情報を共有し合う「コネクティビティ(Connectivity)」という「三つの技術領域」を武器に、これらを深化・融合させることによって、第8次中期経営計画での三つの注力市場へ、新製品をいち早く投入していきます。

三つの注力市場でより多くのFirst 1、Number 1製品を

 第8次中期経営計画での三つの注力市場。それは、「車載」「モバイル」そして新しい「EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)」市場です。
 電子部品事業の中期目標は、売上高5,000億円、営業利益率10%とし、これを表すスローガン「GT510」を掲げました。
 事業ポートフォリオについては、車載市場向け売り上げ3,000億円を目指す「AUTO3000」、モバイル市場向け売り上げ2,000億円を目指す「モバイル2000」、更に、EHII市場では、次の第9次中期経営計画での売り上げ600億円「EHII600」達成に向けた仕込みや拡販の強化を進めていきます。
 車載市場は、現在、各自動車メーカーで「安全・安心、快適、環境」に注力し、それぞれ開発が進められていますが、これらの実現に向けて、より一層クルマの電子化が進んでいます。
 これに伴い、当社の車載事業も着実に成長し、現在、売上高の約50%以上に達しています。製品構成は大きく、複数のデバイスを融合させた「車載モジュール製品」とデバイス単体の「車載デバイス製品」の二つです。
 車載モジュール製品は、車室内コックピット周辺機器の「快適」な操作フィーリングと、直感的操作によって「安全・安心」のニーズにも対応するHMI製品が中心となっています。今後、独自のセンサリング™、コネクティビティ技術を融合し、かつソフトウェア技術なども駆使した新製品開発を行っていきます。
 また車載デバイス製品では、話題の先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の実現に不可欠な通信デバイスの開発に力を入れていくとともに、「環境」に貢献する各種センサの開発を進めていきます。
 モバイル市場では、「ポスト・スマートフォン」の開発が活発化してきました。スマートウォッチやスマートメガネなどの各種ウェアラブル端末が登場し始め、徐々に裾野が広がりつつあることから、当社も従来の「スマートフォン」から「モバイル」へとターゲット市場を広げました。
 スマートフォン向け製品で確立した「1stサプライヤー」のポジション維持・拡大を命題に、ウェアラブル端末をはじめ、利用が進むドローンや、家庭向けも登場したVR(バーチャルリアリティ)機器などに向け、各種のインプットデバイス、センサ、アクチュエータや当社独自の「ハプティック®(Haptic®)」デバイスなど幅広い製品を投入していきます。
 EHII市場では、「IoT」が産業界の注目を集めています。インターネットを介し、センサなどから収集したビッグデータを、新たな価値・行動へ結び付けるこのビジネスモデルは、社会の在り方を変革する可能性を秘め「第4次産業革命」とも言われています。
 このIoTでは、センサと通信モジュールがキーデバイスとなりますが、当社ではセンサリング™、コネクティビティという二つの技術領域を融合した「IoTスマートモジュール」をいち早く開発し、市場に投入しています。この他、省エネルギー、ヘルスケア、産業機器市場向けのビジネスも徐々に実を結び始めており、今後、更にIoTを切り口とした各市場への提案活動も進めていきます。
 加えて、他社との協業、オープンイノベーションなども拡大することによって、ビジネススピードを一層加速させ、より多くのFirst 1、Number 1製品を生み出していきます。

※ハプティック®は当社の登録商標です。

ROICを指標の一つに

新連結中期経営計画の目標

 財務面では新たに、企業が本業に投じた資金を使って、どれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標として、企業の実力を正確に判断すると言われている「ROIC(Return On InvestedCapital)」をアルプス電気連結での新たな目標の一つに設定しました。2015年度の同実績は13.6%で、引き続き第8次中期経営計画でも「10%以上で維持」することを目指します。
 また、将来の飛躍に向けた投資として、研究開発、及び生産設備ともに昨年を上回る投資を計画しています。

配当政策について

配当について

 アルプス電気の配当政策は、電子部品事業の業績をベースに、過去から一貫して、「株主の皆様への利益還元」「将来の事業展開や競争力強化のための研究開発と設備投資」「内部留保」という三つのバランスを取ることを基本方針としています。2016年3月期での剰余金の配当は、上記方針を踏まえ、業績の動向、財務体質の現状、株主の皆様の配当に対するご期待などを総合的に勘案し、1株当たり5円増配し15円の配当に修正いたしました。
 なお、次期の配当は、中間配当 15円、期末配当 15円、合計30円(いずれも1株当たりの金額)を予定しています。

監査等委員会設置会社へ移行

 2016年6月に開催したアルプス電気第83回定時株主総会において、これまでの監査役会設置会社から「監査等委員会設置会社」への移行が承認、可決され、会社統治形態を変更いたしました。
 昨年の会社法改正及びコーポレートガバナンス・コードに則り、企業統治の更なる強化と透明性の確保を目的として、議決権のない監査役を廃止し、新たに議決権を持った監査等委員である取締役「取締役監査等委員」を設置いたしました。
 これにより、アルプス電気の経営体制は、企業運営・業務執行を司る取締役12人と、取締役監査等委員5人(うち社外取締役3人)となりました。今後も、より良い企業統治に努めながら、株主の皆様をはじめとするすべてのステークホルダーにおける利益のバランス化と最大化に努めていきます。

行動規範「三つのHard」企業哲学「人に賭ける」を力に

 一昨年、昨年と中国各現地法人が設立20周年を迎え、記念式・祭典を開催しました。「小さく生んで大きく育てる」との方針のもと、仮工場からスタートした各拠点は、日本人出向者と現地メンバーが協力し合い、最新の生産技術を持つグローバル生産拠点に成長しています。現地メンバーによる趣向を凝らした手作りの式・祭典に参加し、私たち独自の文化「アルプスイズム」が海外現地法人にも共有され、企業の力になっていることを強く感じました。
 「アルプスイズム」は広義なものであり、狭義な捉え方を避けるためにも明文化していませんが、私たちが古くから行動規範としてきた「三つのHard」に、私の思いを加えたものが、グローバルで共有化され実践しています。
 「Work Hard:誠実」すべてのステークホルダーに、また自らの仕事に対しても、常に誠実、真剣、かつ一生懸命に取り組む。
 「Study Hard:挑戦」常に新しい挑戦を続ける。そのためには深い学びが必要であり、学びと挑戦を繰り返すことで個が成長する。
 「Play Hard:連帯」“アルプスは一つ"の合言葉の下、私たちの誇るべきチームワーク「連帯」によって革新を進め、成果を手にした際には努力を称え合い、次の飛躍への活力を生み出す。
 私たちは、経営のベースに常に人をおき「人に賭ける」ことを普遍的な企業哲学としてきました。倫理的な文化を大切にし、個の尊重、社会との共栄など、創業時からの志は、現在も五つの経営姿勢として継承しています。

 世界は日々刻々と変化し、エレクトロニクス産業を取り巻く市場環境も目まぐるしく変化を続け、一層厳しさを増しています。このなかで、第8次中期経営計画でのアルプス電気グローバル全社員の行動指針は「Constructive、Proactive and Vigilant(建設的に、主体的に、そして緊張感をもって)」としました。
 我々経営陣は、この厳しさを強く認識し、社員一同がこの指針を強く胸に刻んで、日々の活動に取り組んでまいります。
 「美しい電子部品を究める」ために、私たちは日々研鑽を重ね、新たな「価値」を一つでも多くお届けすることが、すべてのステークホルダーの皆様の笑顔につながることを願っています。

 今後も、アルプスグループの健全な発展と成長に向け、努力を続けてまいります。引き続き、ご支援・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。