コーポレート・ガバナンス

アルプスアルパイングループ コーポレート・ガバナンスの定義

企業価値を増大するため、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告及び健全かつ効率的で透明性のある経営を実現する仕組みの構築・運用

株主をはじめ、顧客、地域社会並びに社員等全てのステークホルダーの利益最大化が重要と考え、持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図り、かつステークホルダー間の利益をバランスよく満たし、その利益を直接、間接的に還元することを基本としています。
また、ステークホルダーに対する責任を果たすと同時に、実効性のあるコーポレート・ガバナンスを実現するため「アルプスアルパイン株式会社コーポレートガバナンス・ポリシー」を制定し、当社ウェブサイトに掲載しています。

コーポレート・ガバナンス体制

機関設計として、監査等委員会設置会社を採用し、業務執行者から独立した監査等委員会が、会計監査人や内部監査部門との緊密な連携の下、取締役会を監査・監督しています。また、取締役会の諮問機関として、社外取締役が過半数を占める指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置しています。これらにより、コーポレート・ガバナンスの更なる充実と、公正で透明性・実効性の高い経営を実現します。

コーポレート・ガバナンス体制図(2023年4月現在)

コーポレート・ガバナンス体制図

コーポレート・ガバナンス強化の歩み

当社の動き 2017年7月
経営統合を発表
2019年1月
アルプスアルパイン株式会社設立、カンパニー制導入
2019年10月
企業ビジョン制定
2020年4月
カンパニー制廃止
2021年4月
事業担当別マトリクス機能強化
2022年6月
株式会社アルプス物流を持分法適用関連会社に変更
2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
ガバナンス体制の変遷
  • 監査等委員会設置会社移行
  • コーポレートガバナンス・ポリシー策定
  • 取締役会実効性評価実施
  • 執行役員制導入
  • 指名・報酬諮問委員会
  • 指名諮問委員会、
    報酬諮問委員会に分離
  • 監査等委員会実効性評価実施
  • 社外取締役比率過半数に増強

取締役会

2023年6月の役員改選において、独立社外取締役の割合が過半数となり、更なる取締役会における監査・監督機能の強化が行われました。また、取締役会では、経営の基本方針や中短期経営計画を含む経営に関する重要事項の審議・決定を行うとともに、業務執行取締役への重要な業務執行の決定の委任を進め、取締役会を業務執行状況の監査・監督を行う機関と位置付け、モニタリング機能の強化に努めています。
2022年度は、取締役会を月1回の定例開催にて計12回開催しており、各取締役の出席状況は右表の通りです。また、当社の中長期的な成長に資する議題について、議論を深めることを目的に毎月テーマを選定し議論する場を設けています。

取締役会

スキルマトリクス

各取締役がスキルの発揮を特に期待する主な知識・専門性等は以下の通りです。

特にスキルの発揮を期待する知識・専門性
当社における地位
氏名
性別 企業経営 技術・
研究開発
製造・
品質
営業・
マーケティング
財務・
ファイナンス
法務・
リスク管理
DX・IT ESG・サステナビリティ
グローバル経験 取締役会
出席状況
*1
所有株式数
*2
代表取締役 会長
栗山 年弘
男性 12回/12回
(100%)
60,580株
代表取締役 社長 CEO
泉 英男
男性 10回/10回
(100%)
12,200株
取締役 専務執行役員
小平 哲
男性 10回/10回
(100%)
13,800株
取締役 常務執行役員
遠藤 浩一
男性 2回/2回
(100%)
26,100株
取締役
藤江 直文 独立社外取締役
男性 12回/12回
(100%)
取締役
隠樹 紀子 独立社外取締役
女性 12回/12回
(100%)
取締役
伊達 英文 独立社外取締役
男性
取締役監査等委員
笹尾 泰夫
男性 12回/12回
(100%)
33,300株
取締役監査等委員
中矢 一也 独立社外取締役
男性 12回/12回
(100%)
取締役監査等委員
東葭 葉子 独立社外取締役
女性 12回/12回
(100%)
取締役監査等委員
五味 祐子 独立社外取締役
女性 12回/12回
(100%)

*1 2022年度の取締役就任期間における取締役会への出席回数、及び出席率

*2 2023年3月末時点の当社株式所有数

特にスキルの発揮を期待する知識・専門性

企業経営 事業を取り巻く環境変化を見通し、新たな価値を創造するための指導力の発揮
技術・研究開発 ハードウェア・ソフトウェアのコア技術で感動・安全・環境の価値を創出するための技術力
製造・品質 顧客からの信頼を獲得するための、ものづくりと品質を確保するための知見
営業・マーケティング 変化の激しいビジネス環境の中で事業機会を創造する先見性
財務・ファイナンス 成長投資・健全な財務・株主還元のバランスのとれた経営基盤を構築するための財務・会計知識
法務・リスク管理 法務・企業統治・リスク管理の観点から、迅速かつ適切に対応しステークホルダーからの信頼を確保するための知見
DX・IT データとデジタル技術を活用し、事業と業務オペレーションの変革・効率化を推進するための知見
ESG・サステナビリティ 持続可能な社会の実現に向けて、当社のビジネスを適用させる専門的な知見
グローバル経験 グローバルに事業を展開・遂行するために必要となるグローバルビジネスの経験

社外取締役の選任

事業経営、法律、会計等の豊富な経験や幅広い見識に基づき客観的な立場から、当社経営に対する助言と監督を行うため、社外取締役を選任しています。
選任にあたっては、当社「取締役候補者の選任基準」に基づいてその独立性を確認し、各氏の同意を得た上で全員を独立社外取締役として指定し、株式会社東京証券取引所に届け出ています。

氏名 選任の理由 重要な兼職の状況
藤江 直文 自動車業界で幅広く活躍し、車載事業への知見及び同業界での経営経験を有しているため
隠樹 紀子 金融業界で幅広く活躍し、同業界での経験を通じた企業分析等の専門的知見を有しているため 株式会社ディスコ 社外取締役
伊達 英文 経営企画、経理、財務、税務の経験や知見及び企業の経営経験を有しているため
中矢 一也 民生品事業において豊富な製品開発の知見を持ち、同業界での業務執行の経験を有しているため
東葭 葉子 公認会計士としての豊富な専門知識、経験等を有しているため コクヨ株式会社 社外監査役
マブチモーター株式会社 社外取締役(監査等委員)
五味 祐子 弁護士としての豊富な専門知識・経験に加えて、政府関係機関の有識者委員等の経験を通じた幅広い見識を有しているため 日本瓦斯株式会社 社外監査役
株式会社ローソン 社外監査役

社外取締役連絡会

社外取締役との情報共有を目的として、社外取締役連絡会を四半期ごとに開催しています。会議ごとにテーマを設定し、各々の専門性を超えた意見交換の場として活用しています。

社外取締役連絡会の開催実績

開催年月 テーマ
2022年8月 当社におけるカルチャー改革の進め方
2022年11月 人的資本の活用
2023年2月 株主との対話に向けた意見交換
2023年5月 IR DAY開催に向けた内容説明及び意見交換

取締役会の実効性評価

毎年、取締役会の実効性を評価し、より有効的なコーポレート・ガバナンスの実現と、取締役会機能の一層の向上を図っています。

2022年度 実効性評価結果の概要

分析・評価の方法
当社の取締役に対して記名式のアンケートを実施し、その評価結果を基に監査等委員会及び担当執行役員が分析、課題を整理した上で取締役会に報告し、その内容について議論しました。
分析・評価結果の概要
2022年度は、経営課題についてのディスカッションを定例開催する等、中長期的な企業価値の向上に向けた議論の機会の増加、付議基準の見直しによる執行役員会への一部権限の委譲等、取締役会の議論を充実させるための取り組みを強化しました。また、役員構成の見直し等、ガバナンス領域での改善を進めました。
一方、企業価値の向上に向けた議論の機会は増加したものの、事業ポートフォリオについての議論や資本コスト視点での議論はまだ十分ではないこと、取締役会で多様な視点で議論するために更なる資料の充実が必要であること、並行して役員に対するトレーニングの機会を提供する必要があること等の改善点が取締役会で共有されました。
今後の対応等
今回、課題提起された内容を踏まえ、2023年度は取締役会における中長期的な企業価値の向上に向けた議論の機会を増やす取り組みの継続推進及び執行役員会への権限委譲範囲の拡大等を進めることにより、引き続き当社の企業価値の向上に向けて、コーポレート・ガバナンス体制の充実及び取締役会の実効性の向上に努めていきます。

執行役員会

経営における監督と業務執行を分離し、業務執行における意思決定を迅速に行うことを目的として、執行役員制度を導入し、営業、技術、生産、資材、品質、管理等の機能ごとの責任者としてチーフオフィサーを設置しています。取締役会の重要な業務執行の決定を委任された取締役が、チーフオフィサー及び担当執行役員に対して、当社並びに各子会社の業態や規模に応じた効率的な業務執行を行えるように指導・監督するとともに、執行役員会における議論・審議により、各々の機動力を高め、事業の特性に合わせて、迅速かつ的確な意思決定及び業務執行を行っています。

監査等委員会

当社の監査等委員会は、男性2名、女性2名の計4名からなり、弁護士、公認会計士、事業経営経験者として、それぞれ豊富な経験を持つ社外監査等委員と当社事業に精通した社内監査等委員で構成されています。独立した組織として活動の透明性を高め、より実質的なガバナンスを強化する観点から、委員長には社外監査等委員を選定しています。監査等委員は、重要会議への出席、重要書類の閲覧、代表取締役・その他の取締役・執行役員や従業員との面談等を通じて、取締役会から独立した客観的な立場から取締役の業務執行状況を監査するとともに、内部監査部門や会計監査人との緊密な連携により、取締役会やその他の重要会議の場において経営陣に対して意見を述べています。
当社は、役員や従業員との日常的な情報交換及び重要会議への出席等により、監査等委員としての活動に必要な情報を入手し、監査等委員会のモニタリング機能を強化するため、常勤監査等委員を選定しています。常勤監査等委員は、これらの情報を他の監査等委員と共有し、監査等委員会にて重点監査項目を中心に意見交換を行い、監査意見を形成しています。また、監査等委員会の職務を補助するために、相応の知識、能力、職務経験等を有する専任スタッフを置き、当該業務を担う使用人については取締役(取締役監査等委員を除く)からの独立性を確保します。

監査等委員会実効性評価の概要

監査等委員会の実効性の向上により、当社の企業価値の向上に資することを目的として、監査等委員会実効性評価を各々の所感を含む記名式アンケートにて実施しました。その結果を監査等委員会にて議論した上で、取締役会に対して取締役の選任方法に関する提言を行いました。
監査等委員会が自らその実効性を確認し、その結果を今後の活動に反映することが、監査等委員会の機能強化につながると認識しており、今後も継続的に監査等委員会の実効性評価を実施し、監査等委員会の実効性の向上に努めていきます。

監査等委員会は2022年度に計14回開催し、各々の出席状況は下図の通りです。

役職名 氏名 出席状況(出席率)
監査等委員会委員長 中矢 一也 独立社外取締役 14/14回(100%)
常務監査等委員 小林 俊則 3/3回(100%)※2022年6月23日退任
笹尾 泰夫 11/11回(100%)※2022年6月23日就任
監査等委員 河原田 陽司 14/14回(100%)※2023年6月23日退任
飯田 隆 独立社外取締役 3/3回(100%)※2022年6月23日退任
東葭 葉子 独立社外取締役 14/14回(100%)
五味 祐子 独立社外取締役 14/14回(100%)

内部監査

内部監査部門は、当社のガバナンスプロセス、リスクマネジメントプロセス、コンプライアンスプロセスを対象に有効性を評価し、改善を図ることで経営目標の達成に寄与することを目的に活動しています。
取締役会で承認された内部監査計画に基づき、当社および当社子会社の内部監査を実施し、「財務および業務に関する情報の信頼性」、「事業目標の達成」、「資産の保護」、「法令、方針、定められた手順、契約の順守」の観点で業務が適法、適正に行われていることを確認し、改善のための適切な助言を行います。また、内部監査の結果、改善指摘事項について取締役会および監査等委員会に報告します。
三様監査として、監査等委員会、会計監査人と協力、連携して、効率的な監査を行います。

指名諮問委員会・報酬諮問委員会

取締役の指名、解任及び執行役員の選解任や、取締役(取締役監査等委員を除く)及び執行役員の報酬等に関する事項について、客観性、透明性を高めるとともにガバナンスの向上を目的に、指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を取締役会の諮問機関として設置しています。両委員会共に委員長は社外取締役より選出し、構成員は社外取締役が過半数を占める構成としています。
なお、2022年度は、指名諮問委員会を3回、報酬諮問委員会を3回開催しています。

指名諮問委員会・報酬諮問委員会の構成

役職 氏名 指名諮問委員会 報酬諮問委員会
代表取締役 会長 栗山 年弘 オブザーバー
代表取締役 社長 泉 英男
取締役 専務執行役員 小平 哲
取締役 藤江 直文独立社外取締役 オブザーバー
隠樹 紀子独立社外取締役 オブザーバー
伊達 英文独立社外取締役 オブザーバー
取締役監査等委員 中矢 一也独立社外取締役
東葭 葉子独立社外取締役 オブザーバー
五味 祐子独立社外取締役
独立社外取締役比率(オブザーバーを除く) 60% 60%

(2023年7月現在、◎は委員長)

指名諮問委員会・報酬諮問委員会における検討内容

区分 検討内容
指名 取締役会からの諮問を受け、CEOの後継者計画を審議するとともに、取締役及び執行役員の候補者について、取締役会に答申しています。
2022年度は、CEO後継者候補を含めた2023年度の役員体制について審議を行い、取締役会へ答申しました。
報酬 役員報酬の水準、報酬構成及び仕組みを審議するとともに、取締役会からの委任を受け、株主総会が決定する取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬総額の限度内で、取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬配分の具体的金額等を決定しています。
2022年度は、外部専門機関の調査データ等を参考に、報酬水準、報酬構成及び業績連動報酬における指標や評価基準等について審議し、役員報酬の一部改定しました。また、役員毎に評価を行った上で、短期業績連動報酬に反映しました。

指名の方針

取締役に、十分な能力・資質を有した者が選定されるよう、取締役及び執行役員の選任基準を定めており、経営判断能力、先見性、洞察力等に優れ、遵法精神、高い倫理観等を有する人財を取締役候補及び経営幹部として指名・選任する方針としています。

報酬決定の方針

方針

役員報酬等に関する方針は、「短期及び中長期の業績との連動性を重視した報酬体系により、役員の企業業績及び株価向上へ向けた行動を最大限に促進し、グループ全体の持続的な企業価値の向上を図る」として取締役会にて定められています。

報酬の種類

業務執行取締役の報酬は、基本報酬、賞与及び譲渡制限付株式報酬にて構成され、2023年7月以降の標準評価における報酬の構成の割合は、右表の通りとし、原則として上位の役位ほど、変動報酬の割合が高くなるように設定しています。また、非業務執行取締役は、基本報酬のみとしています。
なお、報酬水準及び報酬構成の割合(基本報酬、賞与及び株式報酬の割合)は、外部専門機関の調査データ等を参考に設定しています。

1) 基本報酬(固定報酬)

基本報酬は、固定的報酬として月額にて役位等に応じ支給しています。

2) 業績連動報酬(賞与)

①賞与は、単年度の業績(営業利益率、親会社株主に帰属する当期純利益)に応じて、役位別に定めた標準支給額に対して、0~200%の範囲で変動する仕組みとすることで、全社業績を反映しています。
②報酬諮問委員会にて個人別の評価を行い、①で算出された支給額に加減算し、個人別の成果・業績を反映させています。
なお、2024年度以降に支給する賞与に係る指標については、従来の営業利益率及び親会社株主に帰属する当期純利益に加えて、資本効率性の観点からROEを追加し、賞与の支給率を決定することとしています。

3) 譲渡制限付株式報酬

譲渡制限付株式報酬は、役位別に定める譲渡制限付株式報酬額に応じて支給しています。当社株式の株価上昇によるメリットのみならず、株価下落によるリスクまでも株主と共有する仕組みとしています。これにより、株価を意識した経営を行うことを目的としています。
なお、2024年度以降に割り当てる譲渡制限付株式については、中長期的な企業価値の向上の観点から、ESG経営に関する取り組みを報酬諮問委員会において毎期、評価を行い、この評価結果により役位別に定める株式報酬額に対して±20%の範囲で加減算していきます。

取締役体制による報酬等体系

報酬の種類 対象
社内取締役 社外取締役
監査等委員を除く取締役 監査等委員
基本報酬 月額報酬
業績連動報酬 短期業績連動報酬(賞与)
中長期業績連動報酬(譲渡制限付株式報酬*

* 譲渡制限付株式報酬は、取締役会決議日の前営業日の当社株価の終値を基礎として、支給対象役員に有利にならない範囲で取締役会が決定した額から算出した譲渡制限付株式を割り当てています。

報酬構成の割合

基本報酬 賞与 株式報酬
50~60% 25~32% 15~20%

2022年度の当社取締役の報酬等

(百万円)

役員区分 対象人数
(人)
報酬等の総額 報酬等の種類別の総額
基本報酬 業績連動賞与 譲渡制限付
株式報酬
社内取締役 監査等委員を除く 7 249 174 31 43
監査等委員 3 37 37
社外取締役 6 69 69
合計 16 354 280 31 43