ダイバーシティ&インクルージョン

基本的な考え⽅

D&I推進はカルチャー改革の一つの手段であり、一人ひとりの自分らしい価値観や考え方が、これまでにない「コト」事業の創出へつながると考えています。そのために、従来の習慣から見直すべきところは見直し、人種・宗教・国籍・性別・年齢・性的指向または性自認・障がいの有無、役職などの属性にかかわらず、「自分らしさ(個性)」を認め合い、安心してお互いの意見を交わし合える環境の実現を目指しています。

トップコミットメント

アルプスアルパイン経営姿勢の一つにある「個の尊重」。これはまさしくD&I推進であり、性別、年齢、国籍など属性を問わず個を尊重し、誰もが働きがいを持ち続けながら仕事ができる状態にすることがD&Iのゴールです。会社がこのゴールを目指すことで新たなイノベーションも生まれ、会社の更なる成長につながると確信しています。
アルプスアルパインをグローバルな視点から見ると、日本における女性管理職登用が遅れている状況ですので、まずは意思決定層の多様性を増すこと、そのために属性にかかわらず皆が自律的にキャリアを描ける仕組みづくりを行っていきます。更に、男性の育児休業やシニア、障がい者、LGBTQ+についても経営層自らが課題と向き合い、取り組んでいきます。
アルプスアルパインはD&Iを積極的に推進していきます。

代表取締役 会⻑
栗山 年弘

推進体制

当社では、第2次中期経営計画で優先的に取り組むテーマにD&Iを位置づけ、サステナビリティ推進委員会のD&Iワーキンググループ(⼈事部)を中⼼として、各プロジェクトが連携しながら取り組んでいます。また、⼈財育成における重点課題については⼈財開発会議にて審議しています。

推進体制

管理職への登⽤

目標
女性管理職比率を2024年度までに6%に

当社は、総合職における女性比率(8.75%)に対し女性管理職比率が低いことから 、女性管理職比率の向上を目標に掲げ、①女性社員の採用と定着、②キャリア自律と育成の促進に取り組んでいます。

管理職を計画的に育成・登用するため、各部門において管理職候補者を明確にし、本人への継続的な動機付けや育成支援の取り組みを行ってきました。今後は、育成計画の更なる明確化や、メンタリングシステムを強化していきます。

グローバル⼥性管理職⽐率(連結)

グローバル⼥性管理職⽐率(連結)
女性管理職比率(単体) 2020年度 2021年度 2022年度
3.2% 2.4% 3.1%

⼥性の活躍推進

新卒採⽤の強化・定着

新卒総合職採用における女性割合を高めるため、社内公募に応募した入社5年以内の女性社員を主体とした「アルプスアルパインの魅力発信プロジェクト」を発足し、CEATEC等のイベントやSNSを活用した採用活動を行いました。また入社後の定着のために、個人のライフスタイルに合わせた働き方を可能とする各種制度の充実にも取り組んでいます。

CEATECで学⽣を案内している様⼦

CEATECで学⽣を案内している様⼦

新卒女性採用比率/企画職(単体) 2020年度 2021年度 2022年度
12.1% 6.8% 9.0%

キャリア自律の促進と育成

キャリアデザイン支援の一環として、有志女性社員によるキャリア勉強会の開催や、他部門の管理職・技師職にキャリア相談をできるメンタリング制度「ナナメ1on1」をトライアル導入しました。これらが契機となり総合職へ職群転換する社員も増えています。また、NPO法人J-Win※1が主催する女性リーダー育成研修やJEITA※2が主催する総合職キャリア研修会へも積極的に女性社員を派遣し、育成の機会を提供しています。

※1 J-Win(Japan Women’s Innovative Network):日本企業のダイバーシティ・マネジメントと女性リーダー育成を推進支援するNPO法人

※2 JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会):国内の電子工学・情報技術分野の業界団体

勉強会の様⼦

勉強会の様⼦

外部研修を通じた⼈財育成

社内の各種研修の他に、ダイバーシティをはじめとした世の中の動向・トレンド等知識を得るとともに、他企業との⼥性同⼠のネットワーク構築により、⾃⾝のキャリアを考え仕事の進め⽅・働き⽅を知ることを⽬的として、JEITA※1等が実施する研修や、NPO法⼈※2が主催する⼥性管理職向け研修やリーダー育成研修へ参画しています。外部との交流を通して、社外でも通じるリーダーシップを⾝につけ、将来のアルプスアルパインを牽引する⼈財の育成を⾏っています。

※1 JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association)

※2 ⽇本企業のダイバー シティマネジメントと⼥性リーダー育成を推進⽀援するNPO法⼈「J-Win(Japan WomenʼsInnovative Network)」

⼥性管理職・専⾨職・技師職をつなぐ取り組み

⼥性管理職同⼠がつながることで、お互いをエンパワーメントし合うことを⽬的に、⼥性管理職・専⾨職・技師職と⼀部役員を対象とした「対話ワークショップ」を実施しました。
ワークショップでは、対話・コミュニケーションについて振り返るとともに、参加者同⼠でどの様な組織にしたいか?等活発に議論されました。ワークショップでの気づきを、各職場に持ち帰り組織活性化につなげています。

対話ワークショップ開催の様⼦

対話ワークショップ開催の様⼦

性別特有の健康課題を考える取り組み

⼥性の活躍推進を⽬的に結成したHANAプロジェクトが主催者となり、性別による特有の健康問題(性差)を考える企画として、フェムテック等のイベントの開催やニュースによる情報発信を⾏っています。
2022年度はフェムテック・メンテックイベントを国内各拠点で実施し、男⼥の性差による健康課題の理解促進や、フェムテック・メンテックを知る機会の提供を⾏いました。
今後も性別特有の健康問題についてオープンに話せる職場づくりを⽬指して活動していきます。

フェムテック・メンテックイベントの様⼦

フェムテック・メンテックイベントの様⼦

女性活躍推進法に基づく行動計画

女性活躍推進法施行に基づき、アルプスアルパインでは、より女性が活躍できる社内環境を整備するため、次のとおり行動計画を策定しました。

《期間》
2022年4月1日から2025年3月31日までの3年間
《目標》
  1. 2025年度までに企業風⼟改革・意識改革に対する施策を5件以上実施する。
  2. 育児休業又は企業独自の育児を目的とした休暇制度を利用した割合が、計画期間において、合わせて男性20%以上、女性90%以上とする。
  3. 2025年度までに新卒女性採用比率を20%まで伸長し、経験者採用率も伸長させる。

多様なバックグラウンドを持った⼈財の確保

⼦育てとの両⽴⽀援

性別問わず仕事と家庭との両⽴を⽀援するため、男性の育業促進をはじめとした各種施策の実施と制度整備を⾏っています。

男性の育児休業促進

性別問わず育児がキャリアに影響しない環境づくりのため、2022年度は全社員を対象としたe-ラーニング、人事部長による育児講演会、先輩パパママ社員との座談会などを実施しました。その結果、2022年度の男性育児休業取得率は37.0%となりました。引き続き育児休業が取得しやすい環境づくりを進めていきます。

育児中の管理職との座談会の様⼦

育児中の管理職との座談会の様⼦

男性育児休業取得率(単体)* 2020年度 2021年度 2022年度
17.1% 24.6% 37.0%

* 企業が定める育児休業に準ずる休暇も含めた取得率を算出

企業内保育園の設置

企業内保育所として2019年に古川開発センター内に設⽴した「やまなみ保育園」は、育児と仕事の両⽴を⽀援する施設として利⽤が進んでいます。

やまなみ保育園

やまなみ保育園

短時間勤務者のフレックスタイム制導⼊

⼦育て世代社員をはじめとしたあらゆる社員が仕事とプライベートとの両⽴を実現するため、2019年からは短時間勤務者がフレックスタイム制を利⽤できるようにしました。

その他、働き⽅に関する各種制度についてはこちら

Voice

育児休業をきっかけにお互いが思いやれる職場にしたい

私は第1子誕生時にパパ育休と、約4カ月間の育児休業を取得しました。
取得した理由は、ワーク・ライフ・バランスの実現のためです。夫婦お互いに初めての育児のため、二人で協力しないと家庭が上手くまわらず、家庭が成り立たないと仕事も成り立たないと思ったことと、まわりに既に育児休業を取得された先輩がいたので、取得することが自然と選択肢に入っていました。
取得後の自身の変化としては、同僚がお子さんの体調不良で急いで帰宅される姿を見て、フォローできるところはないかな?と相手を思いやる気持ちが強くなった気がします。
もっと取得する社員が増え、お互いを思いやれるような職場になっていったら良いと思います。

水野 淳也

インフォテインメント設計部
水野 淳也

障がい者の雇⽤促進と働きやすい職場づくり

目標
障がい者雇⽤率 法定雇⽤率2.6%の達成

2022年度は雇⽤プロジェクトチームを結成して雇⽤機会の拡⼤や、就労体験の受⼊れ、外部⽀援機関との連携など採⽤を強化しました。加えて雇⽤後も働きやすい環境づくりを⽬指し、多⽬的トイレの設置や、障がいに関わらず研修や会議に参加しやすい仕組みづくり、配属される職場の社員を対象とした研修を実施しています。

⼿話の司会を取り⼊れた講演会の様⼦

⼿話の司会を取り⼊れた講演会の様⼦

障がい者雇⽤率(単体)* 2020年度 2021年度 2022年度
2.19% 2.21% 2.45%

* 各年3⽉末現在

Voice

障がいに関わらず⾃分の強みを発揮できる会社にしたい

私は聴覚障がいを抱えており、相⼿の⼝や表情を読み取ってコミュニケーションをとっています。聴覚障がいは、どうしてもコミュニケーション不⾜になりがちなので、同僚や関係部署にどのように配慮してほしいかを伝えています。メールや⾳声認識機能などを活⽤し、お互いの業務を共有して業務効率の向上に努めています。
障がいの有無に関わらず、⼀⼈ひとりの個性を⼤切にし、⽀え合い、⾃分の強みを発揮できる会社にしていきたいです。

沼⽥ 真幸

品質本部 沼⽥ 真幸

外国⼈採⽤

IAP(International Associates Program)制度

外国⼈の採⽤促進の⼀つとして、外国籍の新卒者が⽇本オフィスで契約社員として2年間勤務するIAP制度を導⼊しています。
この制度は30年以上の歴史があり、これまでに世界各国から合計100名近くを採⽤しました。IAP期間終了後も多数が当社グループで引き続き勤務しており、2022年度は4名採⽤しました。

22年度⼊社メンバー

22年度⼊社メンバー

国籍問わず働きやすい環境づくり

宗教に合わせた礼拝室の設置や、外国籍社員の受け入れ担当者を対象とした「やさしい日本語」の勉強会開催など、国籍を問わず働きやすい環境づくりを推進しています。 礼拝室の設置等宗教に合わせた住環境の整備、指導員を⼆名体制にする、外国⼈社員の受け⼊れ担当者や希望者を対象とした外国⼈に伝わりやすい“やさしい⽇本語”勉強会の開催など、働きやすい環境づくりにも努めています。

※やさしい日本語:外国人等にも分かるように配慮し、分かりやすい言葉や表現に言い換えた日本語

やさしい⽇本語講座の様⼦

やさしい⽇本語講座の様⼦

Voice

グローバルでの社内外コミュニケーションを増やしたい

語学⼒の向上と⽇本企業での経験を⽬的にIAPに応募し、2019年に広報部門に採⽤されました。職場の皆さんと⼀緒に働くことで、⽇本語や⽇本の⽂化を学ぶことができます。契約満了後は正社員となり、社内広報サイトや冊⼦の作成を⾏っています。今後はグローバルでの社内外コミュニケーションをさらに充実させていきたいと考えています。

Veera Still

コーポレートコミュニケーション部
Veera Still(フィンランド出⾝)

LGBTQ+&ALLYネットワーク活動

D&Iに関する国内社員への実態調査アンケートの結果、約50%の⽅が「LGBTQ+に関する取り組みが必要かどうかわからない」という回答でした。まずは、LGBTQ+に関する知識を持ち、理解につなげる機会が必要であると考え、D&I社内ニュースや短時間で概要を学ぶ動画コンテンツを作成し、啓発活動を⾏っています。
また、2022年度には、有志社員が社内のALLYネットワークを⽴ち上げ、活動をしています。2023年2⽉にはNPO法⼈東京レインボープライド共同代表理事の杉⼭ ⽂野氏をお招きし、オンライン講演会を開催しました。今後もLGBTQ+フレンドリーな企業を⽬指して活動していきます。

※ALLY(アライ):LGBTQ+に共感し、寄り添いたいと考え、支援する人

LGBTQ+を学べる動画コンテンツ

LGBTQ+を学べる動画コンテンツ

杉⼭ ⽂野氏 講演会の様⼦

杉⼭ ⽂野氏 講演会の様⼦

Voice

「ALLYの輪を広げたい︕」

私たちは、社員みんなが「⾃分らしく」イキイキと働くできることができる会社にしたいと考え、有志ALLYネットワーク”FriendDALLY”を⽴ち上げました。その1つとして、LGBTQ+を含めたセクシュアリティの如何を問わず、「⾃分らしさ」を尊重しあえる会社になることが重要と感じ、勉強会やイベント企画等を⾏っています。
LGBTQ+は⽬に⾒えにくい「深層的ダイバーシティ」のひとつです。そのため、知らないがゆえに、今⽇この瞬間に無意識に傷つけているかもしれない、と思うと後回しにしていい問題ではないと考えています。
有志活動だからこそできる、組織の壁を越えた「共感の輪」からALLYの輪を広げていきます。

有志ネットワーク”FriendALLY”メンバー

有志ネットワーク”FriendALLY”メンバー

経験者採⽤

経験者採⽤で⼊社した多くの社員が、役員、管理職、専⾨職として活躍しています。
昨今ニーズが⾼まっているソフト⼈財育成のため、 IT業務未経験者向け教育プログラムの拡充を図り、採⽤後に育成している他、⾼度専⾨⼈財とアドバイザリー契約を締結するなど、多種多様な⽅法で⼈財確保に注⼒しています。今後も経験者採⽤も積極的に⾏い、採⽤形態や⼊社年次にとらわれず、⼀⼈ひとりが様々な環境で培った経験、キャリアを最⼤限尊重できる機会を提供しています。

Voice

⾵⼟の違いを⾃⾝の成⻑に活かしたい

2018年にソフトウェア会社からアルプスアルパインへ⼊社しました。
サービス企画に携わった経験を活かし、新規企画の調査や提案活動に携わっています。⼊社してすぐから広い裁量で仕事をさせていただいており、やりがいを感じます。仕事をする上での仕組みの違いであったり、「アルプスアルパインの中での考え⽅であったと気づかされた」と⾔っていただいたり、逆に⾃⾝が思う常識と違うことも多々あり、刺激ある⽇々です。

岸野 亜理沙

ソリューションビジネス推進部
岸野 亜理沙

定年後のキャリア⽀援(ベテランの活躍)

50歳、55歳の節目で今後のキャリアについて考える「キャリア研修」を実施しています。定年再雇用社員に向けては、社内外のセミナー紹介や求人情報などを掲載したセカンドキャリア情報誌「シニア通信」を発行しています。定年を間近に控えた社員を対象に先輩社員との座談会も実施しています。

定年再雇⽤制

希望する定年退職者全員を対象とし、アルプスアルパインの契約社員として65歳までの就労機会を提供する「定年再雇⽤制」を継続雇⽤制度として導⼊しています。本⼈と会社のニーズが合致すれば、海外現地法⼈で勤務する「海外出向スキーム」も選択が可能です。
⽬標に基づく適正な評価と担当する職務に応じたグレード別処遇により、定年再雇⽤者がその能⼒を最⼤限発揮できる環境作りを⽬指しています。

定年再就業制

⾼年齢者雇⽤安定法の改正(70歳までの就業機会確保に関する努⼒義務)を踏まえ、2021年3⽉16⽇より「定年再就業制」を“70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度”として導⼊しました。
本⼈と会社のニーズが合致すれば、定年後または定年再雇⽤契約終了後に、個⼈事業主もしくは法⼈代表者として業務に従事することができます。当社で培ってきた経験を活かし、退職後も活躍できる機会を提供しています。

D&Iの⾵⼟醸成

2021年度に実施した全社D&Iアンケート結果に基づく第1ステップとして、2022年度はD&I教育と社員が多様な価値観を知るための「つながる」場づくりを推進しました。その結果、D&Iという言葉の理解度が2022年度は約80%(前年度約30%)まで向上しました。風通しがよく受容性の高い組織づくりに向け、2023年度以降は次のステップであるキャリア自律と挑戦の支援を強化します。

D&Iの⾵⼟醸成

ダイバーシティ&インクルージョン教育

D&Iの概念や重要性を理解し、社内の多様な価値観を知る機会として、D&Iニュースの定期的配信、全社員必須のeラーニング、各種セミナーを継続的に実施しています。
また、D&I教育の強化期間として22年度からは“D&I EXPO”をスタートし、 J-Win内永会⻑理事による講演会「経営戦略としてのダイバーシティマネジメント」や当社社外取締役監査等委員五味による講演会を実施し、多くの社員が参加しました。
今後は受容性の⾼い組織づくりに向けた啓発を中⻑期的に実施していきます。

D&I EXPO2023 講演会の様⼦

講演会の様⼦

経営層との座談会

女性活躍推進のため、管理本部担当役員と女性社員の座談会を開催してきましたが、2022年度は、より多様な人財が活躍できる風土づくりにテーマを広げ、性別・年齢・職種といった属性を問わず多くの社員が座談会に参加しました。その結果、組織を超えてつながり、各々の価値観を知るきっかけになりました。また、社長との座談会も実施し、今後の活動について話し合いました。

栗⼭社⻑と座談会参加者

栗⼭社⻑(当時)と座談会参加者

互いの多様性を知る「フリードレス(服装自由化)キャンペーン」実施

本社では、「⾃分らしさ」を表現するための取り組みとして、⾃由な服装での勤務するキャンペーンを実施しています。お互いの多様性を知る機会になるだけではなく、コミュニケーションの活性化と⾃律的に働く⾵⼟の醸成にもつながっています。

⾃由な服装で勤務する様⼦

⾃由な服装で勤務する様⼦