人と電子メディアの新たな関わりを目指して

 世界のありとあらゆる場所から情報を発信し、共有・利用できる時代になった。それを支えているのが、いつでも、どこにいても、当たり前のように利用できる電子メディア(電子機器や電子媒体)だ。電子メディアは、もはや人の体の一部になりつつある。

 しかし、その潜在能力を引き出すためには、使い手が操作法を学び、機械に歩み寄っていかなければならない。世界中の人々がその恩恵を得るには、電子メディアと気軽に対話できる仕組み、知識や技能がなくても自然に操れる仕組みが欠かせない。アルプス電気は、「美しい電子部品」の提供を通じて、人と電子メディアのよりよい関わりに貢献していく。

 「Right(最適な)」「Unique(独自性)」「Green(環境にやさしい)」。アルプス電気は、この3つの価値を究めることで「美しい部品」を追い求めていく。大きな感動や価値は、アルプス電気の社員一人ひとりが情熱と執念を持って究めたものだけに宿る。3つの価値を究めるため、物事の本質に迫り、掲げた目標の実現に向けて果敢にチャレンジしていく。

  • どんなに小さな部品でも、
    持っている技術と経験を惜しみなく注ぐ
  • 仕様で差異化できない標準部品にも、
    明らかな独自性を盛り込む
  • 製品の誕生からリサイクルまで、
    広い視野での環境負荷を考える

どんなに小さな部品でも、持っている技術と経験を惜しみなく注ぐ

 外観、機能、性能、価格、品質など、お客様の多様な要求に過不足なく応える。それでいながら「新たな価値」を生み出すコンセプトを的確にかたちにしている。アルプス電気が考える「Right(最適)」な部品とは、このようなものだ。

 例えば、スマートフォンや家電機器、自動車の機能を操作する部分には、さまざまなスイッチが使われている。一つひとつのスイッチは、とても小さい。しかし、そこは人と機械をつなぐ重要な接点となるため、思いのほか多くのことが求められる。

 当然、ユーザーの意思を確実に機械に伝えることができなければならない。ゲーム機のコントローラーの押しボタンはプレーヤーの操作を迅速かつ忠実に伝えなければならないし、クルマのワイヤレスキーの押しボタンはポケットの中で勝手に押されてしまうようなものでは困る。さらに、ユーザーが押すことで、心地よさや安心感、高級感を感じられることも重要だ。スイッチの感触は、機器メーカーのブランドを伝える手段でもあるのだ。

 どんなに小さくても、どんなにありふれたものでも、持っている技術と経験を惜しみなく注ぎ込んで作られた部品。それこそがアルプスの「Right」な部品である。

ありふれた部分で起こす、ものづくりを変える技術革新

スマートフォン、ゲーム機のコントローラー、洗濯機、カーナビゲーションなどあらゆる電子機器で、人と機器をつなぐスイッチが使われている。アルプス電気は現在、約250種類(シリーズ)のスイッチを提供。さらに、年平均25種類の新しいスイッチを追加している。その中で、確実で軽快な操作性と耐久性、繊細な操作感を職人芸のような高精度でつくり込んだ、アルプス電気が世界に先駆けて発売した製品が「タクトスイッチ®」である。タクトスイッチ®そのものは小さな部品だが、電子機器の確実な操作と、ユーザーに安心感と心地よさを伝える大きな役割を、多彩なフィーリングバラエティと多様なラインアップで担っている。

タクトスイッチ®と同様に、アルプス電気の「Right」な部品の理想をかたちにした部品がもう一つある。機器の中でプリント配線基板の間をつなぐ圧接コンタクトである。今までのコネクタや接点部品よりも小型で、基板のどこにでも配置できる使い勝手のよさを持っている。また、独自の3次元フローティング構造はウエアラブル機器やドローン、ロボットなど激しい振動や衝撃にさらされる機器にも搭載できる高い信頼性も兼ね備えている。今まさに電子機器の内部回路接続に革新を起こしつつある、旬な部品である。

タクトスイッチ®

圧接コンタクト


仕様で差異化できない標準部品にも、明らかな独自性を盛り込む

 技術の目新しさ、奇抜さのみを追求しない。アルプス電気らしさにこだわり、お客様が心から喜ぶ独自の価値をまとった美しさを追求すること。アルプス電気が考える「Unique(独自性)」な部品は、このようなものだ。機能面や性能面だけではなく、製品全体のコンセプトが的を射ていることこそが重要なのだ。

 例えば、パソコンやスマートフォン、自動車などの間で情報をやり取りするために欠かせない無線通信モジュール。無線通信技術は、仕様が国際標準で厳格に定められているため、いかなるメーカーがつくっても大きな違いはないように思える。しかしアルプス電気は、そんな無線通信モジュールにも、「Unique」な美しさを注ぎ込むことができると考えている。

 クルマと電子機器の間が確実につながることの確認と調整は、クルマをつくるメーカーが担っている作業である。しかし、アルプス電気は、この作業を自社内で済ませ、自動車メーカーの作業負担を軽減している。品質管理に「Unique」さを導入し、仕様として見える部分だけではなく、お客様視点での使い勝手の向上を追求しているのだ。

 クルマに標準搭載されるナビゲーションシステムやオーディオの約6割に、スマートフォンをつなぐための無線通信モジュールが搭載されるようになった。そのうち、約40%をアルプス電気の製品が占めている。標準化が進んだ製品での高いシェアは、「Unique」さが高く評価されていることを示す証しだ。

検証と修正を地道に繰り返し、信頼できる無線通信モジュールを提供

 近年、カーオーディオのような車載機器にスマートフォンなどをつないで利用する場面が増えてきた。たとえば、車載用 Wireless LAN/Bluetooth®モジュールの「UGZZFシリーズ」は、通信回路を構成する部品だけではなく、アンテナや通信処理を実行するソフトウェアのような取り扱いが難しい構成要素も集積している。世界各国の電波法の遵守確認や相互接続認証も、アルプス電気が済ませて提供。これによって、車載機器やクルマを開発するメーカーの開発工数削減に大いに貢献している。

 近い将来、クルマ同士、クルマと交通インフラ、クルマと歩行者が無線通信でつながるコネクテッドカーの時代が到来する。屋外で無線通信を確実につなぐことは、クルマの中で機器同士をつなぐよりも、桁違いに難しい。走行中に通信環境が、目まぐるしく変わるからだ。アルプス電気は、製品開発部門に隣接して、走行環境を再現できる電子部品業界屈指の評価センターを設置。さらに、海外の公道を実際に走って日々、来たるべき時代に備えている。

V2Xモジュール


製品の誕生からリサイクルまで、広い視野での環境負荷を考える

 開発・生産するとき、機器に組み込まれて利用されるとき、そして使われなくなった機器を資源としてリサイクルするとき。製品がこの世にある限り低環境負荷であり続けること。これがアルプス電気の考える「Green(環境にやさしい)」部品である。

 それを実現するには、製品を構成する部材にエネルギー効率に優れ無害なものを選定するだけでは足りない。生産技術の改善や、搭載される機器の省エネルギー化に貢献できる製品の開発は欠かせない。例えば、電力需要を平準化するためには、家庭やオフィス、工場などで消費している電力量をきめ細かく把握する必要がある。そこでは、アルプス電気の小型・高性能の電流センサ技術が生きてくる。

 また、発電してから電気機器で消費するまでの間には、交流と直流の変換、電圧の変換が何度も行われる。そのたびに、多くの電力が熱となって失われてしまう。アルプス電気は、低損失の独自材料「リカロイ™」を応用し、インダクタを開発。変換効率に優れたインダクタを提供することで、エネルギー使用量の削減や回路の小型化など、さまざまな場所での環境負荷低減に貢献していく。

磨き続けてきた材料技術・プロセス技術で、電力の有効活用に貢献

 アルプス電気は、ハードディスク・ドライブ用の磁気ヘッド生産で培った磁界の変化を抵抗値の変化に変える技術を応用した、小型・高性能の電流センサを開発した。これによって、より細かな監視が可能になり、高度な電力管理は、電力網だけではなく、自動車の中でも、燃費や電費を向上させることに貢献している。

 他方、送配電の課程で何度も繰り返される電力変換では、変換処理に使われる回路を構成する半導体の材料を、エネルギー変換効率に優れたSiC(シリコンカーバイド)に変える動きが進んでいる。これにもアルプス電気は、独自の鉄系アモルファス合金「リカロイ™」を応用し、SiCなどの能力を最大化できる小型の高周波対応インダクタやリアクタを市場投入した。これによって、変換回路を従来の1/4にまで小型化し、高効率な電力変換装置を送配電網の隅々まで行きわたらせることができるようになった。

リカロイ™ リアクタ

配電用多機能電流センサモジュール